ネジマキの映画感想

旧作、新作、関係なく観た映画の感想を書いています。

新型ノワールサスペンス『ナイトクローラー』を観た!

事故や事件をフリーランサーとして撮影してるジャーナリストを主役にした映画です。

主人公をジェイク・ギレンホールが好演しています。

 

 

 

監督はダン・ギルロイさん。この方監督としてはこれが初監督ですが、なかなか堅実な演出で好感を持ちました。今までは『落下の王国』や『ボーン・レガシー』などで共同脚本をやられています。

 

主演はジェイク・ギレンホールさん。イケメン俳優枠ですが今回での作品では良い意味でカッコよくない演技で見事に演じきっています。てか『ブロークバック・マウンテン』や『遠い空の向こうに』などに主演していた事を考えると、すごい才能のある役者さんだなと思います。

 

撮影はロバート・エルスウィットさん。ポール・トーマス・アンダーソンさんの映画でよく撮影されている名手で今回でも夜の街の風景を上手に切り取っています。

 

 

この映画はパパラッチを描いている作品ですが、実は主人公が社会病質(ソシオパス)というのが物語の核だと思います。

ソシオパスと言われる人の特徴は

①過大な自我の持ち主

②共感の欠如

③視線が強い

④不気味なほど落ち着いている

⑤羞恥心や自責の念の欠如

などあるのですが、この映画の主人公にぴったりと当てはまります。

例えば、社会に認められたいとという欲望が必要以上に強かったり、パパラッチとして撮る対象に一切の共感もせず、どんな場面でも(目の前で人が死んでしまうような場面)とても落ち着いていて、会話する相手をじっと見つめます。

 

その他に例えば音楽の演出にもその部分を強調するような作りになってます。

主人公が仕事で決定的に成功する場面、つまり悲惨な事件をカメラでいいアングルで撮っているシーンにすごいいい感じの音楽が流れます。

 

これは実際に見てみないと解りにくいと思うのですが、普通にみたら全然いい場面じゃないんです。

見てるこっちは「撮影する前に助けろよ!」と思う場面になんだか青春映画で流れてきそうないかにも感動的な音楽が流れます。

半分はブラックジョークではあるのですが、それと同時にその音楽は彼の主観での音楽なんですね。

 

つまりは過大な自我を持っていて共感が欠如している人の主観で流れる音楽なので、いい意味で薄気味悪い雰囲気になっていて、この感じを味わえる映画っていうのはなかなかないんじゃないんでしょうか?

 

全編を通してそんな不気味な演出があるので、そういう映画が好きな人にはなかなか楽しめます。

個人的には、ブラックジョークの部分の方がグッときたのでそんなところに興味のある人にもオススメ!