ネジマキの映画感想

旧作、新作、関係なく観た映画の感想を書いています。

2014年の傑作映画『ぼんとリンちゃん』を観た!

かなり公開規模が小さい映画でしたとても良い青春映画でした。

刺さる人にはぐっさりと心に刺さる傑作です。

 

 

 

監督は小林啓一さん。テレビ番組『ASAYAN』などでディレクターなどを経て現在は映画監督として活動されてます。前作『ももいろそらを』は第24回東京国際映画祭・ある視点部門で作品賞を受賞されたこれから活躍されるであろう方です。

主演のぼん役を演じるのは佐倉絵麻さん。リンちゃん役を演じるのは高杉真宙さん。

二人の友達のみゆちゃんを演じるのは比嘉莉乃さん。

みなさん素晴らしいかったです。特に終盤の演技は神がかってます

 

 

ストーリーは、地方に暮らすぼんとリンちゃんが東京に行って連絡が取れなくなった親友のみゆちゃんを探しに行く、というシンプルなものです。

 

まずびっくりするのが台詞の量。特に主役のぼんの台詞の量がすごいです。とにかくひたすらに喋り続ける。しかも全てがオタクのスラングやネットからの引用で埋め尽くされています。(個人的には押井守監督作品の『イノセンス』を連想しました)

そのマシンガンのように繰り出される台詞自体も馴染みのない人は聞いているだけで楽しくみれるのではないかと思います。

素晴らしいのがそれが、台詞回しの面白さだけけでなくキャラクター性と表現するのに非常にマッチした演出にもなっている部分です。

 

ぼんは、16歳と62ヶ月を自称する大学生、要するに大人になりきれていない女の子です。その子がオタクのスラングやネットからの引用した言葉を喋りまくり、まるで自分の心を言葉の殻で守るように喋りつづける姿は、最初は面白く聞こえるのがだんだんと、物語ののっぴきならない事情が明らかになるにつれ悲痛な台詞に聞こえてきます。

そしてラストには引用ではない自分の言葉を探し始めるかもしれないところで映画は終焉を迎えます。

この探し始める「かも」しれない部分で終わるのが非常にクールで良いと思います。

僕が思う、優れている青春映画は大体が「かも」しれないで終わる映画です。予感で終わる映画と言い換えてもいいかもしれません。

そう言った意味で本作は超ツボに入った映画です。

 

そのほかの役者の方々も素晴らしく特に終盤のぼんとみゆちゃんの口論するシーンは鳥肌が立つぐらい良かった。本当にこんな人が生きているような存在感がありました。

 

監督の小林啓一さんはまだ作品が少ないですが、おそらくこれからの日本映画の質を向上させうる監督さんだと思います。

この映画を傑作といわず何を傑作と言うのでしょうか?日本映画好きなら必見です。