ネジマキの映画感想

旧作、新作、関係なく観た映画の感想を書いています。

本格アクション『藁の盾』を観た!

「懸賞金10億円の凶悪犯を護送せよ!」はこの映画のキャッチコピーですなかなかカッコいいコピーですね。

評価は低いみたいですが、僕は好きか嫌いかで言えば好きな映画です。

 

 

 

原作は漫画『ビー・バップ・ハイスクール』のきうちがずひろさんです。

小説家としては本名の木内一裕さんとして活動されています。映画監督としても『カルロス』『鉄と鉛』など優れた作品を出されてるマルチな才能に溢れています。

監督は年に何本も映画を撮られてワーカホリックを疑われても仕方が無い三池崇史さんです。個人的に良い作品と悪い作品がばっこり別れる方で見る前がいつも不安です。良い時はすごい良いんですけどねー。

出演者の方々は、主役の少女暴行&殺害の犯人を護送する警視庁のSP、銘刈を演じるのは大沢たかおさん(好演)、同じく警視庁のSP、白岩を松嶋菜々子さん(好演)、最悪の人でなし、清丸を演じるのは藤原達也さん(怪演)などです。

 

 

面白かった部分は冒頭の早い段階から「善悪の価値観」を軸にして物語が進み、前半では、トラックの爆発横転、列車内での銃撃戦などの外的なダイナミズムでテンションを上げてくれます。新幹線アクションシーンは台湾で撮影しているようで、日本のアクション映画としてみれば、かなり良い感じに仕上がってます。

後半では少女暴行&殺害で捕まっているのに、この期に及んでも少女に悪戯しようとする藤原竜也さんや、大沢たかおさんの咆哮などの内的なダイナミズムをキレの良い演出で物語をラストに持っていく部分はとても面白かったと思います。

特にエンドクレジット前のラストカットは今作のテーマである善悪の彼岸と人間性を象徴するような良いシーンでした。

 

そのほかだと役者さんの演技も素晴らしかったです。

特に今作で最低な人でなし、清丸を演じた藤原達也さんは素晴らしかったですね。『カイジ』や『デスノート』などで大袈裟な演技が板についてる方ですが、今作はキャラクター性と合っている大袈裟な演技が素晴らしかったですね。

あと松島菜々子さんの綺麗だけど綺麗じゃないおばさんな感じが素敵でした(褒めてますよ)。

 

ただ、全体も通して、「うーん…」と思うシーンもいくつかありました。特に終盤で余貴美子さんが登場するシーンなどは少し違和感を覚えました。「第4者」的な目線のキャラクターだとは思うので登場する意味は分かるような気もしますが、それにしても扱いが雑な気がしました。藤原竜也を殺そうとした人たちの失敗したあとの泣いたり悔しがったのリアクションも入っていたので、余貴美子さんがその人たちの説明しなくても良い気がしました。いなくても十分この映画は成立しそうな気がします。

 

結果を申し上げますと、なんか気になる部分もありましたが、その部分を相殺するぐらいのテンションで進んでいった楽しめる映画だったと思います。