ホラー映画『クロユリ団地』を観た!
映画全体の印象は、普通のホラー映画的な人を怖がらせる事を目的とした映画というよりは、人を不安にさせるような映画だと思いました。
主役の二宮明日香を演じるのは前田敦子さん。
元AKBという枕詞が若干失礼な感じがするぐらい最近役者さんとして活躍されてます。
僕が一番好きなのは『もらとりあむタマ子』です。本作でも大きい黒目がとてもいい味を出しています。
もう一人の主演、笹原忍を演じるのは成宮寛貴さん。
この方も目がすごい良い雰囲気を出してます。
監督は中田秀夫さん。『リング』の監督でJホラーブームの立役者です。
冒頭の視点が移動しながら主観になったり、老人の家に最初に入るシーンなどがとても長く感じて「恐怖」より「不穏」が強調されていると思いました。
個人的に好きな部分はラストの前田敦子さんが床を引っ掻きながら「一人にしないでー!」と叫ぶシーンです。完璧に心が完全に折れた人間が表現できていたと思います。
スティーブンキングの映画化された作品(ペットセメタリーやミスト)や清水崇さんの作品(ラビットホラー3Dや戦慄迷宮)などに構造や物語の軸が似ている印象を持ちました。
その他全体の照明や撮影が良かったです。舞台の団地での夜の撮影シーンは不穏な空気を出していましたし、クライマックスの幽霊が家に入る、入らないの問答があるのですが、その部分に照明がわざとらしくド派手なのも映画っぽい嘘臭さがあって良かったです。
不満なのは、主人公の明日香が後半、ずっと受け身で中心で能動的に動かないまま終わってしまうので、なんだかドッチラケ感が残りました。
もっともそれがさらに不穏な空気を強調していた感じがしないでもないので、悪くはないとは思うのですが、ちょっとイマイチでした。
冒頭でも書いたように、この映画は「怖がらす」ことより「不安にさせる」事が中心になっているので、ホラー映画が好きな人よりミステリーやサスペンスが好きな人の方が楽しめる映画かもしれませんね。