ネジマキの映画感想

旧作、新作、関係なく観た映画の感想を書いています。

『アウトレイジ ビヨンド』を観た!

近年の北野武映画では最も成功した作品『アウトレイジ』の続編です。

今作は2012年10月6、7、8日の初日3日間でおよそ29万人を動員してで北野映画至上初快挙を成し遂げました。 

 

 

監督、主演はデビュー作『その男、凶暴につき』 でいきなりホップ、ステップ、100段ジャンプをした天才、北野武さん。

 

役者陣は、北野武さん、西田敏行さん、三浦友和さん、加瀬亮さん、中野英雄さん、松重豊さん、小日向文世さん、桐谷健太さん、新井浩文さん、塩見省三さん、中尾彬さん、神山繁さん、とある意味、日本の極悪アベンジャーズといった感じです。

 

 

今回の映画で一番良かった部分は、物語に進行に、常に緊張感と興味が持続していた点です。

前作『アウトレイジ』は視覚的なバイオレンス描写のカタルシスで興味で物語に入り込みましたが、今回は視覚では無く聴覚(主に騙し合いや怒鳴り合いのセリフ回しなど)で物語に常に緊張感があり、前作よりも物語に深くのめり込みました。

 

正しい表現かわかりませんが、視覚的な、つまりは具体的なカタルシスを排除し、聴覚に訴える、つまりは抽象的な表現に重きをおく事により、観客の脳みそに余白が生まれ、その余白が緊張感、ひいては興味の持続につながり、ラストにぎりぎりまで膨らんだその瞬間に映画の幕を引いた印象を受けました。

 

細かい部分で言えば、個々のキャラクター性が前回よりもわかりやすくなってた点も観客を引き込む、一つの要因になってたと思います。

 

具体的にはキャラクター全員の顔がよかったです。顔、最高です。

個人的には木村一派(中野英雄 桐谷健太 新井浩文)の三人が好きです。義理難い木村の顔に直情的な嶋の顔、狂気が秘められていそうな小野の顔。最高です。

映画は決められた尺があるので、その枠内でキャラクター性を存分に出さないと行けないのだと思いますが、役者陣の台詞の演技、顔の演技、もっと言ってしまえば顔そのものが、すべて有機的に絡み合い、112分という決して長尺ではない時間にキャラクター性が見事に収まっていたと思います。

 

ただ少し気になる点もありました。

1、山王会弱すぎ

2、ラストが唐突

 

1に関して言えば、映画の冒頭で既に山王会の内部はかなり、ぼろぼろだとう表現(例えば裏切りが蔓延している)もありますので、問題無いといえばないのですが、それにしても騙されやすすぎに見えてしまう点がありました。

2に関して言えば、見た瞬間はかなり面食らいました。しかしながら肯定、否定はおいといて、個人的には『仁義なき戦い』のラストを彷彿とさせるような感じがカッコいい映画でした。