戦争映画『高知戦』を観た!
戦争映画を普段あまり観ないのですが、個人的にはこの映画は傑作でした。
監督はチャン・フンさん。あまり名前は知らなかったのですが『映画は映画だ』『義兄弟 secret reunion』と今作で知らない間に全て観ていました。まだ3作品しか撮られていないですが、個人的にはどれもパワフルで面白いオススメできる映画です。特に『義兄弟 secret reunion』はストレートなエンタテインメント作品としていろんな方にオススメです。
脚本は『JSA』などの脚本を手がけていたパク・サンヨンさん。
主役のカン・ウンピョ中尉をシン・ハギュンさん。キム・スヒョク中尉を演じるのはコ・スさん。この二人の鬼気迫る演技、素晴らしいです。
私が今まで観た戦争映画は「戦争に翻弄される人間」が中心になって物語が進んでいく印象がありましたが、この映画は「戦争というシステムそのものの不条理」そのもそが物語の推進力になっていると思います。
劇中にも「敵と戦ってるんじゃない、戦争と戦ってる」と明言している部分を考えると、作り手も明らかに意識をしているかと思います。
もしくは、分断された国家という特殊な土地で作られた映画、そしてこの戦いが史実だからこそ、作り手は意識せずとも「戦争というシステムそのものの不条理」が映画に反映されたのではないかな?などと考えてみたりもしました。
因みにこの映画の舞台になってるいるエアロKという丘ですが、英語で「AERO-K」は実際はこのような地名は無いのですが、逆さまに読むと「KOREA」コリアとなりかなりわかりやすい象徴化をさしています。
映画の前半から中盤にかけては、個人的には軽すぎるような演出(たとえば敵兵との物資のやり取りがばれるシーン)や主人公が敵スナイパーを見つけるシーン(凄腕スナイパーがあんなに簡単に見つかるか?)や、少し情緒過多になっている演出など、気になる部分が無いことは無いのですが、全体に重い展開が上手く配置されているのでそこまで気になる部分では無いと思いますし、エンタテインメントとしてのバランスとしては、なかなか良いバランスに仕上がっているのではないかと思います。
後半の展開はまさに前述した「戦争というシステムそのものの不条理」を個人的にはこれ以上無いくらい完璧に描ききっていたと思います。
感想としては、「戦争というシステムそのものの不条理」と「人間が作り出した暴走するシステムの危うさ」という点を両立させた傑作映画だと思いました。